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CHRONOLOGY · レイ

レイ|価格を「原価+利益」だけで見ない

McKinseyの価格戦略記事は、顧客が重視する購買要因と、選べる代替案を理解する視点を示しています。これをD2Cへ応用する際は、原価計算を捨てず、事業を続けるために必要な条件と、顧客が選ぶ理由を並行して整理します。記事にある企業向けの方法が、小さなブランドにも同じ効果を生むと考えるわけではありません。自社で観察できる単位まで分けて使います。

まず、原材料、製造、届ける費用など、自社側で把握する項目を置きます。次に、誰がどんな場面で使い、何と比較し、何を評価したかを別に記録します。顧客が便利だと話したことから、受け入れられる価格を直接計算することはできません。必要な価格が定まっても、その条件で選ばれるかは別の問いです。この二つの間に距離があるなら、価格の説明だけで解消できると決めつけないようにします。

架空例として、少量ずつ使える調味料を考えます。作る側は品質維持の費用を負担し、顧客は使い切りやすさを評価しているとします。値上げと同時に容量を増やせば得に見えるかもしれませんが、使い切りやすさを失う可能性もあります。そこで、単価だけでなく購入時の負担、使用期間、残り方を聞きます。量を変えるか、届け方を変えるか、現状を保つかという選択肢は、観察した利用場面から考えます。

検証では「高品質だから値上げできる」といった一段飛ばしを避けます。顧客の発言、購入の変化、代替への切り替えを区別し、想定と異なる反応も残します。収支の見通しと顧客価値がかみ合わないなら、商品構成や提供方法を再設計する余地があります。すべての不一致を伝え方の問題にしないことが重要です。価格は自社の制約と顧客の選択の両方を含む判断として、必要な情報が足りているかを確かめていきます。

02
COMPANY · レイ

レイ|「次に選ぶもの」を先に置く

値上げ後に顧客が選べる道は、同じ種類の競合商品へ替えることだけではありません。買う頻度を減らす、別のカテゴリを使う、自分で用意する、買わずに済ませる場合も考えられます。McKinseyが紹介する次善代替との比較は、この選択肢を調べる入口になります。ただし、代替の一覧を作れば適切な価格が算出できるという意味ではありません。まず、実際に何と比べられているかを確かめます。

調べる順番は、直近の購入場面、検討した代替、その時に重視した条件です。「次に買わないならどうしますか」という仮の質問だけでなく、「前回ほかに候補へ入れたものはありましたか」と経験を聞きます。運営側が競合と思うブランド名を先に示すと、別の選び方を拾いにくくなることがあります。回答者が自分の言葉で話せるようにし、選ばなかった理由まで聞ける範囲で確かめます。

これは架空の比較です。朝食向けの商品を買う顧客が、他社の同類品ではなく、家で作る食事と比べているとします。比較する項目には味や価格に加え、準備や片付けの手間が入るかもしれません。別の顧客は、休日だけ買う楽しみとして見ているかもしれません。同じ商品でも代替が違うため、競合一社との価格差だけで全顧客の選び方を説明しないようにします。

聞き取りで得た代替は、あくまで顧客が語った候補です。実際の切り替えとは区別し、購入が止まった時も代替先が不明なら不明と記します。代替が安いから必ず負ける、特徴が多いから高くできる、といった結論は出しません。どの場面でどの良さに意味があるかを整理し、その価値を保つ方法を考えます。比較の相手を広く見ることで、自分たちが次に試したい商品や伝え方の案も、顧客の暮らしに近いところから選べます。

VERIFICATION
As Of
2026.09.18
Last Verified At
2026.09.18
Source Name
McKinsey|Turning pricing power into profit
03
PRODUCTS · レイ

レイ|世界観・商品・体験を分ける

「ブランドが好き」という言葉には、見た目や考え方への共感、商品を使った時の良さ、届くまでの体験などが重なっている可能性があります。値上げ前には、それらを一つの好意としてまとめず、何が継続購入と結び付いているかを分けて見ます。世界観、商品、体験という区分はBASの実務上の補助線です。価値の正しい分類や、価格への寄与率が測れる尺度として扱うものではありません。

世界観の欄には共感した言葉や見た目、商品の欄には実際の使い方や結果、体験の欄には配送、同梱物、問い合わせなどの出来事を置きます。分類に迷う内容を無理に一つへ押し込める必要はありません。開封の楽しさが商品を使うきっかけになるなど、複数の要素が関係する場合もあります。各欄に根拠となる発言や観察を添え、ブランド側の狙いだけで埋めないことが重要です。

架空例として、日用品の定期便で配送箱の見直しを考える場面を置きます。運営側は箱の豪華さが愛着につながると思っていても、顧客は片付けやすさを喜んでいるかもしれません。この場合、コストをかける箇所を決める前に、箱を開けたあとどう扱うかを聞く余地があります。豪華さが不要とも、簡素化が正解とも、聞く前には決めません。利用場面と好意の理由を結び付けて考えます。

次に、どの要素を変えると顧客の体験が変わりそうかを仮説にします。「なくなると困る」と語られた要素も、そのまま新価格の受容を示すわけではありません。商品や体験の変更を考えるなら、守りたい価値と失う可能性のある良さを併記します。世界観だけで選ばれていると決めず、反対に世界観を飾りと切り捨てず、顧客がどこで意味を感じているかを確認するための整理です。

04
MARKET · レイ

レイ|離れた顧客も値上げ前に見る

購入を続けている顧客の声は、今ある良さを知る手がかりになります。一方、その人たちだけを見ていると、購入が止まった理由は分かりません。値上げを考える前には、残った人の評価と、離れた人の事情を並べてみます。これは不満を探すためだけの作業ではありません。商品への評価が変わったのか、必要な場面が減ったのか、価格や買い方の条件が合わなくなったのかを区別するためです。

購入間隔が空いたという記録だけで、離反と決めないことから始めます。使い切るまでの期間や贈答の時期によって、次の購入までの長さは変わります。以前の購入品、時期、案内や割引との関係を確認し、分かる事実を書きます。「価格が高かったはず」「飽きたのだろう」といった読みは別の欄へ置きます。理由が取れない場合、空欄を都合のよい説明で埋めないことが大切です。

説明用の架空例では、定期購入をやめた人が商品には満足していても、在庫を使い切れずにいたとします。その人の話を聞かずに商品の魅力を強く伝えても、困りごとに応えないかもしれません。逆に、価格を抑えた代替へ替えた人もいると考えられます。聞ける場合には、やめる直前の使い方や、現在どうしているかを尋ね、商品評価と利用条件を分けて残します。

回答した人にも偏りがあり、すべての離反理由が分かるわけではありません。継続顧客の仮説と矛盾する声が出たら、例外として取り除かず、どの状況で価値が弱まるのかを考えます。値上げの前に頻度や届け方を見直す案が生まれる場合もありますが、聞き取りだけで最適策とは決めません。残る価値と合わない条件を同じ記録で見ながら、次に確かめる対象を選びます。