研究の顔と、紙に描く顔はどこまで近い?
2019年の写真研究では大学生44人が人の顔を評定。不快場面の後は、中立場面の後より、気分の評定は否定的に、興奮度の評定は低くなりました。PLOS ONE原論文。単純な漫画の顔や愛着の検証ではありません。BASはこの範囲を越えて、線を減らすほど感情が豊かになるとは結論しません。以下は絵の構成を比べるための編集案です。
比較には、丸い輪郭、点の目、横線の口を持つ名のない架空の紙キャラクターを使います。基準の一枚では、正面向きの体の横に閉じた傘があります。顔の変更案では口だけを笑顔の曲線へ変え、場面の変更案では顔を保ったまま傘を贈り物の箱へ替えます。サイズ、配置、線の太さをそろえた設定です。二案は、変えた場所の違いを言葉にするために置きます。
顔の変更案で喜びの読みが候補になったとしても、口の曲線があらゆる状況で同じ意味を持つとは言えません。場面の変更案で期待の読みが候補になっても、箱が誰の物かはまだ決まりません。BASの比較では、変更した線や物と、そこから提案した読み方を別々に残します。読みが思い浮かんだことを、その絵の唯一の意味が確認されたことへ置き換えないためです。
また、二案の差を見つけることが目的になると、無理に違いを答えてしまう比較にもなりえます。「同じに見える」「顔より傘が気になる」という答えも残す構成にします。口を変えた案が必ず明快で、物を替えた案が必ず想像を広げる、と役割を先に固定しません。どこを変えたかは制作上の事実ですが、その変更をどう読むかには別の判断が残ります。
口を変える案と、傘を箱に替える案を比べると?
基準の絵Aは、横線の口のキャラクターと閉じた傘です。絵Bは傘をそのままに、口だけを笑顔の曲線へ変えます。絵Cは口を横線へ戻し、傘だけを箱へ替えます。AとBなら顔の一か所、AとCなら周囲の一か所を比べられます。BとCだけを並べると、顔と物が同時に違っているため、印象の違いをどちらへ結び付けたのかが曖昧になります。
Bには「雨が上がってうれしい」という読みを置けますが、傘を返せてよかったという続きも考えられます。顔の表現が明確でも、喜びの理由までは描かれていないのです。Cには「箱を渡す相手を待つ」という読みを置けますが、中身を確かめたい場面にもできます。余白が顔にあるか、出来事の理由にあるかを分けると、どちらの絵にも未確定の部分が残ります。
別案として、Aの傘を空の椅子へ替えた絵Dも考えられます。待ち合わせ、休憩、座る前の一瞬などが候補です。ただし、Dを加えたために、寂しい話ばかりを期待する題名を付けたら、物以外にも条件を足したことになります。比較する際には、絵の中だけでなく、上に付けた言葉も対象に含めます。選択肢を増やすほど、公平な比べ方になるわけではありません。
作り手が決めたいことは、この場面で気持ちを一つへ絞る必要があるかです。受け取った喜びを伝えたい一場面ならBのような描き方が候補になります。待っている理由を次の頁へ残したいならCやDも候補です。どれを選んでも、別の読みをした人を間違いとして消す必要はありません。制作上の狙いと読者の解釈の距離を、次に見直す材料として残せます。
体の向きを変えたら、顔の意味も決まる?
顔と周囲の物の間には、姿勢という別の手がかりがあります。紙のキャラクターが箱へ両手を伸ばす絵と、手を体の横に置く絵では、描かれた動作が異なります。BASでは、その違いを気持ちの名前へすぐ置き換えず、「手が箱の方向へ伸びている」とまず記述します。受け取りたいのか、向きを直したいのかは、その動作を説明する候補として別に置けます。
同じく、椅子のほうへ胴体を向けた案にも、座る、椅子を動かす、後ろを通るといった続きがあります。顔は同じでも体を変えたなら、顔を固定したことだけを理由に、場面の効果を確かめたとは言えません。ここで顔、姿勢、周囲を分けるのは、全てを別々に感じ取れるという主張ではありません。作り手が何を変更したかを、後から確かめられるようにするためです。
手が描かれていない図柄なら、動作を示すために一部を加える選択もできます。線が増えたから余白を失ったと決めず、箱と体の関係を読めるようになったかを考えます。反対に、細かな指の形を描いても、どの物へ手を伸ばしているかが曖昧なら、描き込みの量だけでは整理できません。どこが詳しいかと、今回の場面に必要な違いが分かるかを分けます。
こうした記述は、実在する人の姿勢を読み解いて性格や本心を決める方法へは移しません。今扱っているのは、作者が変えられる架空の絵の構成です。キャラクターの動作にも複数の続きを残せるようにすると、「分からない」という読みを置く場所ができます。それを不足として全部埋めるか、物語の続きとして保つかは、今回作る一場面の目的から選べます。
描き足す前に、どの違いを残しておく?
紙の絵を整えるとき、BASは「もっと表情を豊かに」と一度に頼む代わりに、今回何を変える案なのかを狭く書く方法を考えます。傘の絵なら、口を曲線にする案と、箱へ替える案を別々に残します。どちらかが気に入っても、他方を失敗作という理由で消す必要はありません。選ばなかった案も、何を動かすと場面が変わるかを話す材料になります。
次に選ぶ基準も、感じ方の数だけにしません。今の目的が「贈る直前の一瞬を描く」なら、その動作が読みの候補として残るかが関わります。「誰を待つのかは続きを読んで考えてほしい」なら、顔へ全ての理由を描き込まない案もあります。反対に、場面の中心が読めないままなら、動作を明確にする選択が必要かもしれません。少なく描くことを、修正しない理由にはしません。
本層の原論文への参照は、こうした編集案の有効性を認定するものではありません。自作の絵を眺めて読みが増えても、他の読者の理解や、長く好きでいることまでは確かめられません。また、箱から期待を読まなかった人へ、詳しい私生活を尋ねて理由を探す必要もありません。作品のどこを見たかについて話せる範囲を、比較の材料として十分に残せます。
手元で考えるなら、自分で描いた架空の顔と閉じた傘の絵を一枚選び、口だけを変えた案と、傘だけを箱へ替えた案を紙に一度並べてみられます。違いがないと感じたら、そのままで構いません。どの一か所を残すか迷ったら、記事末のBASで相談テーマを選ぶへ。その三枚から、描いた変更と、そこから浮かんだ読みを分けて相談できます。画像AIへの入力は不要です。



