同じ出発点で比べていると言える?
真似にかかる時間を比べる前に、比較する側が何をすでに持っているかを揃えて考えます。1987年の研究草稿は、挙げた性質が全蓄積過程にあるとはしません。BASではこの点を踏まえ、経験が長いほど必ず再現に時間がかかる、と並べることを避けます。以下の展示カードの比較は架空であり、期間を測った結果も、仕事の習得に必要な年数も示していません。
対象は、架空の紙の形展で繰り返し使うカードの組です。完成条件を「指定した作品名と説明が、卓上用、持ち歩く展示用、大きな文字の閲覧用で対応する」と置きます。作り手が元データを使える場合と、公開された見本だけを使う場合を並べると、必要な仕事が変わります。両者を比べる価値はありますが、同じ条件での速さを比べた結果とは呼ばず、条件差を含む比較として残します。
人の人数や、使える道具も出発点に含められます。文字組みに慣れた人が一人いるのか、初めて触る人だけなのか。すでに自分の台紙を持っているのか、白紙から作るのか。技能を細かい点数へ変える必要はありませんが、結果の解釈を変えそうな違いは隠さない方がよいでしょう。「同じ見本を見せた」という条件だけでは、始まりを揃えた説明には足りないことがあります。
もし同じ出発点を用意できないなら、比較をやめる以外の道もあります。それぞれの開始条件を併記し、どちらが一般に速いかという結論は保留にできます。元データを渡す方法と渡さない方法を比較したいなら、その差を残すこと自体が目的になります。揃えるものと、違いとして観察するものを先に分ける。日数を説明する材料は、この区別から選べるというのがBASの提案です。
待った時間と、手を動かした時間は同じ?
カードの制作に「長くかかった」と聞いたとき、何を長いと呼んでいるかを確かめたくなります。開始から受け渡しまでの経過時間と、作業に使った時間には、別々の役目があります。紙の形展なら、紙が届くまで待つ時間も、文字を並べる時間も、納品までの予定には関わります。ただし、人がどれだけ作業したかを知りたい場合には、同じ一つの数字へまとめられません。
この架空例では、途中で別の仕事をし、翌日にカードへ戻る場面を置けます。開始日と終了日だけなら、その間の期間が分かります。カードに向かった時間だけを数えるなら、離れていた間をどう扱ったかが必要になります。さらに二人が同時に作業した場合、一組ができるまでの長さと、二人それぞれが使った時間の合計も違います。どの問いへ答える数字かを、単位と一緒に残します。
待ち時間を除けば本当の速さが分かる、と一律に決めることもできません。展示開始までに間に合わせたい人には、待っている間も重要です。一方、担当者の作業負担を減らす目的なら、手直しや確認に使った時間を見たいでしょう。見積もりの受け手が知りたいことによって、必要な欄が変わります。暦の上の時間と作業時間は、どちらかを隠すためでなく、用途を分けて説明できます。
戻った後に誤りが見つかり、やり直す場面も考えられます。印刷までの時間だけを残すなら、見た目を作る仕事の記録です。誤りを直して組を確かめるまでを完成にしたなら、直す時間も含めます。都合のよい時点で時計を止めず、選んだ完成条件との対応を守ることが大切です。両方の時間を記録できない場合も、分かる側と分からない側を明記すれば、比較の境界は残せます。
「完成」の印は、次回もできることを含む?
完成した一組に丸印を付けると、仕事が片づいた気持ちになります。その印が何を意味するかは、今回の完成条件によって変わります。紙の形展で、机の上のカードと作品が合っていることを確かめたなら、丸印はその時点の一致を表せます。箱へ戻した後に取り出せるか、別の説明へ差し替えても合うかは、まだ同じ印の中に含めなくてよいでしょう。
一度できたことを軽く見る必要はありません。初回の制作が目的なら、それ自体が必要な完成です。繰り返し使える仕組みを比べたい場合には、次の利用でも満たしたい条件を別に置きます。たとえば作品の並び順が変わる、説明の一部が改訂される、担当者が交代する、といった条件です。全部を同時に変えるより、どの変化を含む主張なのかを先に明らかにできます。
同じ人が同じ順番で並べ直せた場合と、別の人が新しい説明を使って揃えた場合では、確認した範囲が異なります。後者を難しい上位の課題と決めるより、使いたい場面に必要かを問います。担当交代がない仕事に、交代への対応を必須の合格条件として足す理由は弱いかもしれません。実際の用途から完成を定めることで、見栄えのよい評価のために仕事を増やさずに済みます。
「再現できる」と書くときは、誰が、どの材料で、どの変更まで確かめたかを続けられます。未経験の変更まで含めた約束にしないことが、印の意味を保ちます。回数だけを増やしても、同じ失敗を見逃す見方のままなら、見えている範囲は広がりません。一回の完成と、条件を変えて繰り返せることを別の行へ置く。それぞれを必要な大きさで受け止めるための整理です。
日数の欄を埋める前に、何を一行へ残す?
BASの観察用紙では、特徴を短期間、長期間という箱へ先に分けません。一行に、再現する対象、完成条件、開始時点、開始時の材料と人数、経過時間と作業時間、確認した繰り返し条件、未確認点を置く案です。項目を埋めた数で強みを採点する方法ではありません。どの条件で得た時間なら、何の見積もりに使えるかを読むための用紙で、空欄が残ることを前提にします。
紙の形展の記入例なら、対象は「三つの用途へ展開するカード一組」、完成は「指定した作品名と説明が各用途で対応し、旧版が配布用に混ざらない」と書けます。開始は「白紙の台紙と架空の作品一覧を受け取った時」。使用できる道具と人数も、想定として別に添えます。ここまでは観察計画の記述です。作業をしていなければ、経過時間や作業時間の欄に推測の数字を置きません。
その下に「未確認」の行を設け、経過時間は未計測、担当交代後の再現は未観察、と明記する案です。待ち時間の扱いが決まっていなければ、それもここへ残せます。未確認はゼロ時間でも、再現不能でもありません。後で記録ができたときに、どの問いの空白が埋まったかを確かめる場所です。見積もりを求められても、根拠のない期限を入れる代わりに、この範囲はまだ答えられないと説明できます。
試してみたくなったら、自分で用意した白紙の展示カードと、丸や三角だけの架空の作品一覧を使い、用紙の完成条件を一行だけ書いてみられます。時間を測る必要はありません。その一行で何を終わりにできるか迷ったら、記事末の3人と相談してみるへ。自作のカード案と未確認の行を材料に、今回はどの条件を揃えると考えやすいかを話せます。他社の内部資料を集める作業は要りません。



