レイ|形の保存に、考えていた状態を添える
案を再開する時には、図や短い文章だけでなく、それを何のために作っていたかも必要になる場合があります。BASの整理案では、問い、条件、未決点、次に触る一か所を分けます。四つは同じ情報の言い換えではありません。問いは考える対象、条件は今の案が守りたい範囲、未決点は判断が止まっている所、次の一か所は再開時に試す動作です。
架空の寄り道コースなら、問いは「木のある道を通って帰るには」です。条件には、普段の帰り道から大きく外れたくないという希望を置きます。未決点は右の枝道から戻る線のつなぎ方、次の動作はその線を一本描き直すこと。この対応があれば、道順を完成させていなくても、何を比べる途中だったかは残せます。実際の道の状態は別に確かめる事項です。
ただし、すべての案に同じ詳しさを求める必要はありません。一枚の図だけで問いを思い出せるなら、未決点だけの補足で足りるかもしれません。数週間置きそうな案なら、当時の条件をもう少し説明した方が読みやすい場合もあります。これは保存量を決める一般法則ではなく、取り出した時に不足した内容から、本人が調整するための考え方です。
新しい案を作る時に材料を集めることと、すでにある案へ戻る準備は、取り出したいものが違います。ここでは過去の経験全体を棚卸しせず、一案の途中の状態を残します。最初から考え直す部分を減らしたいのか、別の条件から見直したいのかも選べます。元の考えを完全に復元することを目的にせず、今の判断へつながる範囲に絞ります。
レイ|次の一手を、答えの代わりに固定しない
「次に右の枝道を描き直す」と残す時、その動作は仮の入口です。右側の案を採用すると決めたことではありません。描き直した結果、左へ回る方を考えたくなることもあります。メモに結論まで書こうとすると、未決だったはずの所が決定事項へ変わりかねません。次に調べる、比べる、描くという動作と、最後に選ぶ案を分けておきます。
動作が大き過ぎるなら、今の紙で触れる範囲へ小さくします。「よいコースを完成させる」では、何から始めるかがまだ残っています。「右の枝道から戻る線を別の色で一本引く」なら、その一か所へ手を動かせます。色を使わなくても、別の紙に描くことはできます。必要なのは決まった記法ではなく、自分がどの部分を扱うのか分かることです。
未決点がいくつもある時は、全部を次の予定に並べなくても構いません。架空例なら、景色、遠回り、道のつながりを一度に決めようとせず、まず紙上で戻り道の候補を描くと選べます。それで判断できないことは残ります。小さな動作にしたから全体の問題も小さくなった、と考えず、今回触る部分と、まだ触っていない部分を区別します。
再開時に条件が変わっていれば、先にメモを直すこともできます。今日は寄り道を考えるより、別の案を進めたいかもしれません。その時、「次」と書いた動作を必ず実行する必要はありません。書いた時点での候補と分かれば、使う、変える、置くを選べます。メモは過去の自分からの命令にせず、今の自分が続きを考えるための提案として読みます。
レイ|案とメモが離れないように、小さな対応を残す
短いメモは、何に対応するかが分かって初めて使えます。「ここを変える」だけでは、図が二枚になった時に対象が曖昧になります。架空の人なら、再開したい紙の右側へ印を付け、メモにも「右の枝道」と書けます。紙を別にするなら、同じ題を付けて一緒にしまう候補があります。次に読む本人が、図と補足を行き来できるかを見るための工夫です。
案を描き直した後には、次の入口も変わる場合があります。右の道を描き直したのに、メモがいつまでも同じ動作を指していたら、再び開いた時に済んだ作業を繰り返すかもしれません。そこで、「線は引いた。戻る部分がまだ長い」と、今の状態へ短く更新できます。作業を何件こなしたかより、いま何が未決なのかを次の自分へ渡します。
前の案を残す価値がある時は、違いが分かる範囲で手元に置けます。「前は木のある道を長く通る案、今は戻りやすさを優先」と一言添えると、見た目の違いと判断の理由を結び付けられます。すべての線の変更を記録することは必須ではありません。外から借りた材料がある場合は必要な出所を保ちつつ、今回のメモでは再開に要る変更へ絞れます。
一度選んだ案でも、いつでも正しいとは限りません。条件が違えば、前に外した候補がまた気になることもあります。取り出した時に「この場面ではこう選んだ」と読めるようにしておけば、過去の選択を現在へそのまま当てはめずに済みます。長い履歴を完成させるより、今回の図、当時の条件、残った問いの対応を崩さないことから始められます。
レイ|見つける、読み取る、触るを分けて確かめる
一案をしまってから取り出す小試行では、どこまで進んだかを分けて見ます。最初は、必要な案を探し出せたか。次は、問いと未決点を読み取れたか。最後は、次に触る一か所を選び、実際に描くなどの動作へ移れたかです。三つを一つの「使えた」にまとめないことで、もし止まった時に、置き場所と書き方のどちらを直すか考えられます。
記録するのは、今回起きた具体です。「別の紙束を先に探した」「右の丸を、採用の印と読み違えた」「戻り道を一本描けた」などを短く残せます。時間を測りたければ測れますが、短かっただけでよい案になったとは判定しません。逆に、問いを考え直すために時間を使ったなら、その時間がすべて無駄だったと数える必要もありません。
同じ案を何度も読むと、内容を覚えているために再開できた可能性もあります。違う案を比べれば、元からの分かりやすさも異なります。一人で一回試した結果から、この書き方が他の方法より優れているとは結論できません。それでも、本人が引っかかった言葉や、探しにくかった置き場所は、次のメモを直す材料にできます。方法の証明と身近な修正を分けます。
再開しなかった時は、その理由も大切です。案は読めたが今日は進めないと選んだ、条件が変わり別の問いを考えた、意味が分からず止まった。この違いを残せば、使わなかった案を全部失敗と扱わずに済みます。メモを増やす前に、今の本人がその続きを望んでいるかを確かめられます。書き方を整えることと、進める案を選ぶことを一緒にしません。


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